定盤は、一般的には機械装置の加工/組立/検査/実験などを行うための基準平面(水平面)として用いられます。 形状は長方形または正方形の表面をもち、その平面は「機械加工」「きさげ」等により、必要な精度を得るために仕上げられています。 表面は、機械や装置を固定するために、T溝加工やネジ穴加工が施工されることが多く、測定のための基準線や基準溝を予め加工しておくこともできます。 定盤は、必要な平面精度を保証するために、剛性が高い材質が用いられ、その構造もリブや箱型が多用されます。また、経年変化による平面の精度低下を校正するために、調整機構が組み込まれている場合が多くあります。 近年、その用途は自動車やエンジン等の振動実験、音響計測など多様化しており、防振機構など多様な機能が求められるようになって来ています。
材質は鋳鉄定盤と石定盤が多く用いられています。
ねずみ鋳鉄(FC材)が多く用いられ、剛性を高くし変形を小さくするために、箱型にして内部をリブ構造にしています。また、鋳鉄の場合、鋳造工程で生じる内部応力による経年変化をなくすために、熱処理(焼鈍)で内部応力の除去を行っています。
石製定盤は、さびないこと、熱膨張が鉄より少ないこと、傷による返りが少ないことなどの特長があります。特に、斑レイ岩(みかげ石)は硬度が高く、組織が緻密で機械的性質にも優れているため、石定盤として多用されています。
*供試材鋳放し直径Φ30による
定盤上で検査や実験を行う場合、定盤の「平面度」は測定値の信頼性に影響します。平面度の許容範囲は、JIS規格(JIS B 7513)により0級、1級、および2級の3等級に区分されています。 0級クラスの定盤は、工作機械の仕上げ加工の検査を行う基準面となる精度で、機械装置の加工/組立/検査/実験などを行う場合は2級クラスで十分と言われています。
2級クラスは、一般的には機械加工(フライス仕上:回転運動により切削加工)で仕上げられることが多く、それ以上の精度が必要な場合は、研削加工またはきさげ仕上が行われます。 また、T溝加工やネジ穴加工、ケガキ線加工も機械加工で対応できます。※きさげ仕上:工作機械による加工面に対してさらに高い精度の仕上面を得るために手作業で表面を少しづつ削っていくことです。定盤、測定機器でもこの仕上は用いられており等級の高い精度を確保する場合に用いられます。
定盤の剛性は、その上に置く機械や実験装置の荷重負荷によって、大きな変形が生じ平面度が低下しすぎないように設計する必要があります。剛性は、その材質と構造で決まります。定盤の高さ、肉厚、リブの配置、断面形状は剛性に大きく影響します。なかでも、下面を開放にするのではなく、閉断面とする構造が剛性を高くするのに効果的と言われています。 Daiwa 定盤は、写真のように下面をできるだけ閉断面とする構造を標準としています。(下面の穴は、鋳造する時に空間を作るための中子を支えるために必要となります。) 定盤の許容荷重は、剛性と支持点(拘束点)の数により決まります。載荷する機械や装置の最大荷重に基づき、変形が許容値以下となるように設計致します。必要に応じて、CAEによる構造解析を行い、変形状態を詳細にシミュレーションすることも可能です。
定盤の平面度の精度は、機械加工を行った時点と据え付け後とでは異なってきます。Daiwa 定盤は、据え付け後の平面度の精度を保証できるように、事前の打合せを十分行い、搬入経路/方法、基礎への固定方法、レベル調整方法などを決めさせて頂き、据付作業も責任を持って請け負っています。